技術士とは

日経コンストラクション,1999.7.23より抜粋

 「技術士」の称号は,技術士第二次試験(以下,技術士試験)に合格し,技術士登録簿に登録した人に与えられる。ちなみに「技術士補」になるための試験を,技術士第一次試験と呼ぶ。部門は,建設のほか水道,環境,機械,電気・電子など19に分かれている。(社)日本技術士会の資料によると,98年12月末現在の技術士の登録者数は3万8290人。このうち約47%が建設部門だ。

 技術士試験は,筆記試験と口頭試験から成る。3月下旬から4月上旬までが受験申し込み受付期間だ。筆記試験は8月下旬。筆記試験に合格した者だけが12月の口頭試験を受ける。合格発表は2月上旬。受験手数料は1万4000円だ。

 試験の配点は下表の通りだ。科学技術庁の資料には「合否の基準は相当高い水準におくこととし,技術士としてふさわしい適格者を選定するために合格者を厳選する」と書かれている。

合格基準は公表されていないが,筆記と口頭の両試験とも70点以上が合格の目安だ。年によって試験の難易度に差が生じるので,合格率をにらみながら合格ラインを上下させることもあるようだ。

 

資格取得までの流れ

受験者数の推移 グラフ

98年度の受験率は54%

 技術士第二次試験(以下,技術士試験)は「申込者の約半数が受けない試験」と,見ることもできる。98年度の技術士試験の受験申込者数は3万504人,受験者数は1万6497人で,受験率は54.1%。制度がでさてから10年ほどの間は85%を超える受験率だったが,申込者数が年々増加するのとは反対に,受験率はどんどん落ちている。ここ数年は54〜55%台で推移している。技術士試験には「難しい試験」というイメージがある。準備不足を理由に辞退する人が多いようだ。

勤務先別合格率

“官高民低

 技術士試験の合格率は,官が民に勝っている。この表は98年度技術士試験の勤務先別結果だ。公社公団等26.3%,国立機関26.0%,地方自治体21.4%と,“官”に分類される人たちの対受験者合格率が20%を超えている。これに対して民間は14.6%だ。

 建設分野について複数の識者に聞いたところ,官側の技術者が合格しやすいいくつかの要因があるという意見が寄せられた。一つは官側の技術者が,技術士試験で必須科目とされるとされる一般的問題に関して,日ごろから考えることを求められ,文章を書く訓練を積んでいるという点。もう一つは,事業の必要性や計画の過程について知り得る立場にいるという点だ。

部門別,科目別合格率

建投が最難関

 61ページ左側に部門別の試験結果を示した。19部門に分かれた技術士の試験のうち,建設は最難関だ。98年度の対受験者合格率は14.1%(97年度は13.0%)。水道14.6%,電気・電子15.1%と続いている。

 受験者数が多いのも建設部門の特徴だ。98年度の受験者数は1万363人だった。2位の水道が1026人,3位の電気・電子が900人だから,他の部門とは桁が違う。逆に受験者数が最も少なかったのは船舶の9人だった。並べてみると,受験者数が多い部門で合格率が低い傾向にある。合格率が最高の航空・宇宙(37.5%)と,最低の建設(14.1%)では,実にに2.6倍の開きがある。

 今度は,建設部門の主要科目別の試験結果を見てみよう。対受験者合格率が最も低いのは「建設環境」の8.7%,二番目に低いのは「施工計画,施工設備及び積算」の10.3%だ。

逆に合格率が最も高かったのは「港湾及び空港」の24.4%,「電力土木」が21.9%だった。年度ごとに合格率は変動しているものの,ここ2年間,建設環境や施工計画が低く,港湾や電力土木が高い傾向は変わらない。

技術士制度の改正報告まとまる

日経コンストラクション 速報0302 号 より

 技術士審議会(会長:桑原洋日立製作所副会長)は2月23日,技術士制度の改善方策の報告書をまとめた。技術士の質を維持しながら,資格保有者数の増大を目指す。同報告を受けて科学技術庁は,3月上旬までに技術士法の改正案を国会に提出する予定だ。

1次試験が必須となることが,主な改正点。7年の実務経験を積んで2次試験から受験するルートは,経過措置を経て廃止する。1次試験の合格者は,

  1. 技術士補として指導技術士のもとで4年の実務経験を積む
  2. 日本技術士会の支援を受けた修習プログラムを4年間実行する
  3. 1次試験合格後,7年の実務経験を積む

のいずれかの要件を満たせば2次試験を受験できる。

 また,現状の建設,水道,環境など19部門に加え,総合的な技術的監理に関する部門を新設する。

 東京都資格案内より http://www.metro.tokyo.jp/INET/SHOUGAI/SHIKAKU/S688400E.HTM

 

 資格名

 技術士(技術士第ニ次試験)

資格内容

 技術士は、技術士法に基づいて行われる国家試験(技術士第ニ次試験)に合 格し、登録した人だけに与えられる称号である。国はこの称号を与える事により、その人が科学技術に関する高度な応用能力を備えている事を認定することになる。従って、例えば、企業、地方公共団体、国等が、技術コンサルタントの助けを必要とするような場合、技術士を置いたコンサルタント業者に依頼すれば安心という事である。

取得条件等

 受験資格は、次の2通りの方法のいずれかで得られる。(1)科学技術に関する専門的応用能力を必要とするような計画、研究、設計分析、試験又は評価の業務に通算7年を超える期間従事すること。(2)技術士補として通算4年を超える期間技術士を補助すること。この他には、一切制限はない。試

 験は、19の技術部門の中から、あらかじめ受験者が選ぶ1つの技術部門と、さらに、その技術部門ごとに設定されたいくつかの選択科目の中から、あらかじめ受験者が選んだ1つの選択科目について、筆記試験と、筆記試験合格を対象とした口頭試験で行われる。(19の技術部門については、技術士補の資格参照)

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問合せ先住所

 東京都港区虎ノ門4−1−20 田中山ビル8階

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