総合技術監理 予想問題 3-4 「ヒアリハットマネジメント」

問題3−4 ヒヤリハットマネジメント

別添の文章「ヒヤリハットマネジメント」を読んで、以下の問いに答えよ。

1)あなたの職場での業務の概要について、次の観点から述べよ。まず、あなたの業務の中には、どのようなヒヤリハットが存在しているか、3つ以上あげて概説せよ。そして、それらがどのような重大事件に発展する危険性を秘めているかという点について述べよ。(600字以内)

2)あなたの職場での業務に存在する、ヒヤリハットマネジメントを阻害する次の@〜Cの4つの「壁」について、それぞれ具体的に「壁」を概説すると共に、その解決策を示せ。解決策は、総合技術監理の5つの監理から3つ以上を適用するものとする。

@「情報収集の壁」

A「課題化の壁」

B「気づきの壁」

C「技術管理者の問題意識の壁」

解答は、@〜Cごとに600字以内で、それぞれ「壁」の内容、解決策の順に述べよ。

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ヒヤリハットマネジメント

1. はじめに

製品回収の告知、想定外の行動を取った子供の死傷事故、苦情を放置したための行政処分など、ブランドや企業の存続をも揺るがす事件が相次いで報道されている。社員や消費者がインターネットを通じて告発したり情報交換したりするようになったことが背景にあると言われており、こうした不祥事や事件が明るみに出る傾向は今後も強まっていくと予想されている。

2. ハインリッヒの法則

こうした現状に対して企業に必要なのは、大きな事故やトラブルの予兆をつかみ、予防する力だ。もともと総合技術監理部門の安全管理には、ハインリッヒの法則、すなわち「大きな事故の陰には数百件の小さな事故やトラブル(3リハット)がある」というのが常識である。小さなトラブルに目を光らせることが予兆をつかむことにつながる。事故を防ぐためには「小さな失敗情報」を現場がこまめに報告し、企業内外の品質問題などの専門家が重要な予兆を発見し経営陣に報告、小さなうちに芽を摘むことが必要であるといわれている。

3. ヒヤリハットの実際

ところで、一般にリスク管理の原則では、「発生可能性と、リスクが顕在化した時の影響の大きさを予測して優先順位をつけて、防止策を講じるべきだ」と記述されている。しかし、実際には発生可能性や事故の大きさを論理的かつ精緻に予測できる手法は存在しないため、そのたびに現場は経験則に頼って判断しているのが現実である。このため、まずは、「想定外のトラブルはいつでもあり得る」ということを肝に銘じて、小さなトラブルや事故情報と向き合うことが失敗を防ぐための第一歩というわけだ。

例えば、雪印乳業の食中毒事件では、停電発生によって牛乳が温められるという想定外の状況と、製造現場が殺菌処置についての判断を誤るというミスが重なった。もし雪印の技術管理者が、停電で温められた牛乳の処置を現場が自主的に判断することの危険性を事前に想像したり、現場が毒素を持つ菌について十分な知識を学んでいない危険性に気づいていたら、あのような食中毒事伸は起きなかったのかもしれない。

森ビルの回転扉事故という不祥事についても、後になってから、実は小さな事故やクレームが前もって起きていたのに、それが長い間放置されていたことが発覚した。この事件では、危険を感じず駆け込んでくる子供の存在と、実際に足などを扉にはさんでけがする事例の存在を全社的に共有して議論していれば、子供の頭がはさまれた時にどんな惨事に発展し得るか、気づけたのかもしれない。

4. ヒヤリハットマネジメントについて

以上のことから一般的なプロジェクトの管理における、ヒヤリハット情報の活用の体制・仕組み作りは次のような問題を解決すればよいといわれている。

@    「情報収集の壁」 現場が問題を提起することに、心理的な抵抗感を持ち問題提起がされない。

A    「課題化の壁」 ヒヤリハット情報が集まったとしても、そこに重大事故の予兆があるとは気づかない。

B    「気づきの壁」 現場が小さな異変や異常、事故でも報告すべきだと認識できない

C    「技術管理者の問題意識の壁」失敗情報を技術監理に生かそうという本気度を現場に示し、リーダーシップを発揮できるかどうかという心配がある


●森ビルの回転扉事故の主な教訓と対策

問題

対 策

縦割りの問題報告の仕組みの下では情報伝達、問題解決が遅い

一元的な問題報告システムの運用

経営陣まで上がってくるべき「問題情報」の定義があいまいだった

「事故情報」に限定せず小さな問題も報告させる。社外のアドバイザーの活用。週1回の安全会議役員会で事故情報を検討

問題発見に積極的な風土がなかった

事故機見学の新人教育。顧客と接して安全を考えるサポートクルー活動実施



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