体験論文の書き方セミナー

その1 「代表的2業務の概要記述」対策

その2 メインの業績についての記述方法

その3 「業務を進める上での課題および問題点」記述方法

その4 「課題に対する技術的提案」記述方法

その5 「提案に対する技術的成果」記述方法

その6 「現時点での技術的評価及び今後の展望」記述方法

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技術士合格への道セミナー

合格できる技術的体験論文 その1

「代表的2業務の概要記述」対策

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1.はじめに

 

 技術士合格への道研究所では、問いかけとコーチング、それから誰でも書ける論文作成指導によって、これまで多数の方の能力開発に貢献し、合格支援に成功してきました。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることも身につくため、技術者として一回りも二回りも大きくなれることは間違いありません。

 これら指導の結果、だれでもご自分の専門技術を余すことなく答案に反映し、合格力を高められます。これからは技術的体験論文の書き方についてです。

 

2. 合格できる技術的体験論文 

 

 技術士試験の技術的体験論文は、試験実施大綱によると、 技術士として必要な専門的知識だけではなく、応用能力、論理的考察力、課題解決能力について重視するように変化しています。

 

 このため、従来は専門的内容を深く記述すればよかったものが、今後は技術的な応用力や課題解決の考え方をテキパキと表現する必要がでてきました。

 

 このため、過去の経験論文をただ2枚に要約するだけでは論文として通用しません。業績の技術士にふさわしい本質的な部分がどこにあるのか、特定してかかる必要があります。今年の問題を見てみましょう。

 

 あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」について実際に行った業務のうち、受験した技術部門の技術士にふさわしいと思われるものを2例挙げ、それぞれについてその概要を記述せよ。さらに、そのうちから1例を選び、以下の事項について記述せよ。
(1)あなたの立場と役割
(2)業務を進める上での課題及び問題点
(3)あなたが行った技術的提案
(4)技術的成果
(5)現時点での技術的評価及び今後の展望

 

 では、技術応用力と課題解決能力をどうやって表現するのか、論文の部分ごとにご説明しましょう。まず今回は初めの「代表的2業務の概要記述」対策についてです。

 

3. 「代表的2業務の概要記述」対策

3.1技術士にふさわしい業績」の3つの条件

 

 まず論文の題材になる「技術士にふさわしい業績」を2例選定しなければなりません。この決め手となるのは次の3点です。

(1)問題解決に技術応用のプロセスがある。

(2)上記(1)の結果、(経済的な)成果が得られている。

(3) 上記(1)が単なるアイデア、工夫ではなく工学的な知識体系に基づいている。

 

 上記の(1)(2)は一般的に指導されており、理解しやすいことですが、(3)はなじみが薄いものと思います。

 

 それはこういう意味です。たとえ独創的なアイデアであったとしても、すでに開発されたことを知らずに、一から再び開発するのはムダ以外の何ものでもありません。また、技術士は国から資格を受けて技術による産業振興に携わるプロなのですから、国民の利益を考えた場合、経験則に頼った技術開発など許されるものではありません。

 

 技術士として最新の技術をいつでも提供できるためには、まず科学技術の体系的知識を保有して、それらをすぐに活用できる柔軟さが必要です。そのためには既存の技術体系を勉強し、新たに何かを開発する場合に既存の成果を100%生かすような独創的な姿勢を持ち続けねばならないということです。

 

 このことは、技術士にCPDが求められる理由のひとつでもあります。確実に技術成果が国民に提供されるために、CPDでは技術士が普段から技術動向について勉強し、技術体系を身につることを制度化しているのです。

 

 以上のことから、ここでは単なるアイデアとして「私は独自に〜と発案した」というのではなく、「○○技術では一般的に〜の法則があるから、それらをベースとして〜を考案した」というように述べればよいのです。

 

3.2「概要」とは最初のスクリーニング

 

 次に設問にある「概要」ですが、一般的には業績の「あらすじ」という程度にしか考えられていませんか。すなわち、所詮、概要なのでこれが、合格、不合格に対して直接の判断根拠とはならす、したがって、大雑把に業務や物件のアウトラインを書いておけばよいくらいに考えられていませんか。

 

 しかし、本当にそれでいいのでしょうか。論文の採点で試験官がすべての論文に目を通して採点するのは大変に労力を要するもので、不合格の答案まで精読するのはつらいものです。当然、この概要を読んで最初のスクリーニングがされていることは想像に難くありません。

 

したがって、試験に合格するには、まずこの「概要」を読んで、合格の可能性が十分あると読み取れるようにしておくべきです。少なくとも、概要だけで不合格とはできない印象を与えなければなりません。

 

 そこで、概要において「技術士の体験論文としてふさわしい」と思わせるにはどうすべきかということです。再び「技術士にふさわしい業績」の決め手となる3つの事項です。

 

(1)問題解決に技術応用のプロセスがある。

(2)上記(1)の結果、(経済的な)成果が得られている。

(3) 上記(1)が単なるアイデア、工夫ではなく工学的な知識体系に基づいている。

 

これらを概要に織り込んでいけばよいのです。

 

3.3 よくある誤解

 

 さて、概要の書き方でよくある誤解のひとつに、物件概要を書いてしまうことがあります。これがなぜいけないかはわかりますね。

 

 技術士の論文では個人の体験を評価するため、「物件」ではなく「個人の業績」や、さらには「貢献内容」を見たいのです。ですから、物件の規模や仕様は、そこそこにして、ご自分がどう貢献したかを十分書き出すように努めてください。

 

4. 論文の具体例での指導例

 

 さて、前項では一般論を述べましたが、具体的に論文を作成する段になりますと、やはりわかりにくいものです。そこで、実際の論文上で考えてみましょう。

 以下の論文は実際の受講生様の協力によって公開しております。論文の全文・PDF形式へのリンク、それから指導解説の音声・WMA形式設けました。

 

4.1概要記述例1(建設部門、道路)

論文の全文へのリンク

http://homepage2.nifty.com/whitewell/nsj_ronb.pdf

 

(1) ○○○○○○商店街自然石舗装工事

時期:平成89月〜平成103

業務概要:○○○○商店街における、景観、施工性および耐久性に配慮した、乾式工法の採用による自然石舗装の設計および施工指導を行った。乾式工法は、自然石を敷き砂の上に並べていく工法であり、施工後の養生が不要のため即日交通解放が可能である。

 

(2) 路上再生による○○○○舗装工法の適用

時期:平成175月〜10

業務概要:社会情勢は、資源の有効利用や再利用技術に期待が寄せられている。また、沿道環境改善のため○○舗装が注目されている。この2つの機能を備えた舗装工法として「○○○○性舗装工法」を考案し現道に適用した。この工法は、既設舗装を掻きほぐして敷き均し、その上に新規○○○混合物を敷いた後、2層同時に転圧して仕上げる路上再生工法である。

-1断面図、図−2施工機械編成図

 

4.2 例1に対するコメント

論文に対するコメントへのリンク

http://homepage2.nifty.com/whitewell/nsj_comt.wma

 

 技術士業務に必要な3項目を確認してみましょう。

 

 (1)は、時期や業務概要が簡潔に書かれています。しかし、概要は、

●自然石舗装の設計施工において乾式工法を採用した。

●乾式工法は、施工後の養生が不要の優れた工法である。

ということを述べるだけで、問題解決に技術応用のプロセスがあることや施工規模、成果や貢献には触れていません。

 

 本来は、自然石舗装の効果や困難さに触れ、それを上手に行う上での工夫について述べるべきです。工夫の背景には当然、工学的な知識体系があるわけで、そこまで読み取れれば貢献が際立つというものです。

 

(2)はどうかというと、

●社会情勢は、資源の有効利用や再利用技術に期待が寄せられている。

●沿道環境改善のため排水性舗装が注目されている。

と本論の前の前置きが冗長すぎます。これらは一般論であって業績の貢献度とは直接は関係ありません。

 

 業績内容については、「○○○○舗装工法」の概要や施工手順に言及するものの、ご自分の貢献については書かれていません。また、図-1断面図、図−2施工機械編成図は物件の理解を助けるものではあっても、やはり貢献や工夫の内容を直接的に説明するものではありません。

 

 ということで問題解決のプロセスや、その成果、工学的な知識体系がいずれも明らかになっていないということです。この答案では、一般論はそこそこにして、ご自分の工夫や貢献について詳しく書く必要があります。

 

 

4.3 概要記述例2 (機械部門)

論文の全文へのリンク

http://homepage2.nifty.com/whitewell/fjt_ronb.pdf

 

業務概要2例

(1) ○○○車は小型軽量、低重心の特徴を持つ、2輪車からの派生車種である。森林、牧場、泥濘地での重作業用として世界中に拡販された。やがて世界各地で多種類の故障が発生していることが明らかとなってきた。調査したところ、開発部門、製造部門、サービス部門のそれぞれにまたがる要因が浮かび上がってきた。全社に渡る技術管理を実施して解決に導いた。さらに同様なことが将来の新モデルに発生しないよう総合的な対策を行なった。

(2) 水上スポーツと環境保全のバランスをテーマとして当社初の○○○が開発された。従来の2輪車などとは異なる水上での乗り物に対し、予想されるリスクを抽出しこれらに技術管理手法を用い対処した。顧客、ディーラ、会社それぞれの資産を失うことのないよう新規事業を推進した。

 

4.4 2に対するコメント

論文に対するコメントへのリンク

http://homepage2.nifty.com/whitewell/fjt_comt.wma

 

(1)は車両の概要はともかく、要因分析はされているものの、「全社に渡る技術管理」や「総合的な対策」とかいった抽象的な説明にとどまり、しかも貢献内容については触れられていません。

 

 先ほどの技術士業務に必要な3項目で言うと、技術応用のプロセスが不明なため、それによる成果が読み取れません。それゆえ、工学的な知識体系に基づいているかどうかもわからないということです。

 

この答案では、分析はそこそこにして、具体的な対策、その成果、背景について述べればよいと思います。また、総合技術監理ということもありますので、機械工学の技術だけでなく、総合技術監理の5つの管理にふれることも必要です。

 

(2)は車両の性格もわかって、リスク対応について述べられています。ただし、「リスク対応」とは安全管理の一要素に過ぎません。「資産を失うことのないよう・・」と分析されていますが、特別そのような設問の要求があったわけでもなく、唐突な感じがしないでもありません。また、肝心の貢献内容は「技術管理手法」とかいう抽象的説明にとどまっています。

 

 この答案でも、5つの管理にふれると共に、業績でのご自分の貢献について述べて、その背景にふれればよいかと思います。

 

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 当研究所の指導方法をお分かりいただけましたか。今回取り上げたような、わかりやすい方法で無理なく誰でも書ける技術的体験論文の指導を行っております。論文作成について、その完成は難しいものですが、次のように段階的に取り組めば、まったくむずかしくはありません。

 

(1)業績を分析して、論文に書くべきものを選定する

(2) 概要に貢献内容を書く

(3)貢献内容がいかにして実現したか根拠を書き出す

(4) 業績および周辺技術について反省する

(5) 専門家の意見等を参照して、技術課題、将来展望を述べる

 

 こうした段階的指導内容については口頭試験コースA(口頭+体験論文作成指導)のウェブページを参照ください。http://homepage2.nifty.com/whitewell/mensekouA.htm

 

 小手先の合格テクニックではなく、本質的な能力開発を目指して技術のプロの問題解決を開発してきた結果です。これらは受講者様の要望にこたえるためとことん考えぬいた結果でもあります。

 

 また、本講座では論文の内容について不足している点を次のような多角的なツールで指導します。

 

(1)コーチング指導とコンピテンシー能力開発

(2)ノウハウいっぱいのチェックシート指導

(3)マルチ通信手段によるクイックコミニケーション

(4)科学技術論文データベース

 

 ツールの詳しい内容については、次のページをご覧ください。

http://homepage2.nifty.com/whitewell/4kinou.htm

 

 この結果、問題に対して、論理的で簡潔な回答が、自然とできるようになります。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることも身につくため、技術者として一回りも二回りも大きくなれることは間違いありません。

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技術士合格への道セミナー

合格できる技術的体験論文 その2

メインの業績についての記述方法

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1.はじめに

 

 技術士合格への道研究所では、問いかけとコーチング、それから誰でも書ける論文作成指導によって、これまで多数の方の能力開発に貢献し、合格支援に成功してきました。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることを身につけてもらい技術者として一回りも二回りも大きくなれる指導を行っています。

 これら指導の結果、だれでもご自分の専門技術を余すことなく答案に反映し、合格力を高められます。このメールでは、技術的体験論文の書き方について全8回程度に分けて連載でお送りします。

 

2. 合格できる技術的体験論文 

 

 技術士試験の技術的体験論文は、応用能力、論理的考察力、課題解決能力について重視するように変化しております。このため、過去の経験論文をただ2枚に要約するだけでは論文として通用せず、技術士の本質的部分を集約して、テキパキと表現する必要がありました。

 

 前回は今年の問題をもとに、業績2例の概要の書き方についてご説明しました。技術士にふさわしい業績」の決め手となる3項目を挙げ、問題解決が単なるアイデア、工夫ではなく工学的な知識体系に基づいていることの重要性を述べました。

 

 今回はいよいよ、メインの業績の詳述に入っていきます。まずは全体的な記述方法の方針と、次に各論としての「立場と役割」の書き方についてです。

 

3. メインの業績についての記述方法

 

3.1 全体的な記述方法の方針について

 ここで、論文の全体的な記述方法の方針についての基本ルールを、次の3つの基本事項として簡単にまとめておきましょう。

 

(1) 階層的な構成となる順または、「全体」から「部分」の順に書く。

(2) 技術的な考え方は理論(名)や計算式で示す。

(3) 一貫したねらいのもとに開発していることを示す。

 

(1) 階層的な構成となる順または、「全体」から「部分」の順に書く。

 

 読み手が理解できるためには、階層的な構成となる順に情報が提示されて、それらがつながることが重要です。いきなり詳細に入ると、読み手の頭の中で論旨がつながらず、とても理解しにくいものになります。

 

 書き方としては、まずは、概略から詳細に、あるいは全体から部分へと記述します。同じ意味で、例示の場合は基本的事項が先で例外は後とします。

 

 一方、因果関係のある場合は、結果を先に理由・原因はあとにします。重要である「結果」を先に書いたほうが理解が早いからです。同様に、成果・方策の順は成果が先です。

 

 これらの考え方は、筆記試験の答案骨子のまとめ方と同じです。はじめは大きく全体から、主要な事項、本質的な貢献内容をまず明らかとして、次にそれぞれの項目について細かく展開していればよいのです。

 

(2) 技術的な考え方は理論(名)や計算式で示す。

 

 技術的貢献内容は、技術体系から引用されていることを示すのが理想です。このためには、技術的なポイントや本質的な要点は、理論や計算式で、きちんと説明することが大事です。

 

 この方法として、法則名や理論名、あるいは法則の式や理論式を示すことをお勧めします。技術的な根拠をあれこれ説明するよりも、多くの人が一般的に知っている技術体系上の名称、すなわちそれは法則名や理論名になりますが、そういった専門用語を使ったほうがずっとスマートでダイレクです。

 

(3) 一貫したねらいのもとに開発している姿勢を示す。

 

 技術士の業務が高く評価されるには、専門家であることが一つの条件です。計画性や論理性が感じられることも大切です。この方法として、業績が一貫したねらいのもとに開発されてきたことを示すことが有効です。

 

 しかしながら、実際の業務は試行錯誤の結果として、成果が得られる場合も少なくありません。そのときはあと付けでもいいので、理由や根拠付けをしてください。

 

 たとえば、ある成果があったとして、それを達成するために、「理論式を使って予測し、実験などで検証して開発した結果、望ましい結果が得られた」というストーリーを作っていけばよいのです。

 

3.2 「私の立場と役割」の書き方

 

 業績の詳述の最初に要求されるのが、この「私の立場と役割」です。まず、技術士法によると技術士とは次のように定義されています。

 

 科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(監督も含む)を行う者

 

 このことから、こうした専門的業務について指導、監督的立場にあり、かつ専門的事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価に携わっていることを述べればよいことがうかがえます。

 

(1) 立場

 業務に対して、指導・監督的立場にあること、これが理解できるような業務上の立場(の名称)があればよいでしょう。

 

(2) 役割

 科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする業務をとり行う役割を示します。役割の形態としては、計画、研究、設計、分析、試験、評価の業務から近いものを選んで示せばよいのです。

 

 

4. 論文の具体例での指導例

 

 さて、前項では一般論を述べましたが、具体的に論文を作成する段になりますと、やはりわかりにくいものです。そこで、実際の論文上で考えてみましょう。 以下の論文は実際の受講生様の協力によって公開しております。

 

4.1 論文記述例1(総合技術監理 建設部門)

 

(1) 論文の抜粋

1.業務概要2

1.1 業務―1

 中略

1.2業務―2

 本業務は、○○県○○市○○地区の河川を横断する汚水圧送管20mの推進工事である。時期は平成13年12月〜4ヶ月。地中障害物のためルート変更の必要が生じた。工事予算、工期、作業安全面での変更管理が必要となり、総合技術監理の3つの管理分野から次の対策を行った。

経済性管理 安全でかつ経済性を高める工程管理。

人的資源管理 短期間で変更管理に対応できる組織編成.

社会環境管理 環境保全のための設備管理及び、泥水の循環活用.

この結果、予算の超過及び工期遅延を最小限に抑えられた。

2.業務2の詳述

1)立場と役割

 主任技術者として複数問題を解決し,予算・納期厳守を主眼とした施工計画を担当

 

4.2 論文の「立場と役割」に対するコメント

 

 立場は「主任技術者」、役割は「複数問題を解決し,予算・納期厳守を主眼とした施工計画を担当」と分けられます。

 立場について、「主任技術者」だけでは指導監督的な情況がイメージしにくいものです。そこで、たとえば次のように補足してください。

 

・所員総数4名の現場所長

・主任技術者でありかつ、協力業者3社を指導して・・

・本社技術部職員として、現場所長以下4名を技術支援した

 

 役割については「複数問題を解決し,予算・納期厳守を主眼とした施工計画を担当」というのは、どこの現場でも共通するマンネリの答えです。もっと、専門的応用能力を必要とする業務をイメージできるようにします。また役割の形態として「計画、研究、設計、分析、試験、評価」から選んで示します。このようにして現場の特徴を具体的に出すようにすればよいのです。

 

・推進工事のリスクマネジメントを推進し、工程を分析して予測的に施工計画を立案

・現場職員の技術レベルを高め、地質を評価して最適な推進工事の仕様とした。



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技術士合格への道セミナー

合格できる技術的体験論文 その3

「業務を進める上での課題および問題点」記述方法

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1.はじめに

 

 技術士合格への道研究所では、問いかけとコーチング、それから誰でも書ける論文作成指導によって、これまで多数の方の能力開発に貢献し、合格支援に成功してきました。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることを身につけてもらい技術者として一回りも二回りも大きくなれる指導を行っています。

 これら指導の結果、だれでもご自分の専門技術を余すことなく答案に反映し、合格力を高められます。このメールでは、技術的体験論文の書き方について全8回程度に分けて連載でお送りします。

 

2. 合格できる技術的体験論文 

 

 技術士試験の技術的体験論文は、応用能力、論理的考察力、課題解決能力について重視するように変化しております。このため、過去の経験論文をただ2枚に要約するだけでは論文として通用せず、技術士の本質的部分を集約して、テキパキと表現する必要がありました。

 

 前回はメインの業績の詳述について、全体的な記述方法の方針と、各論としての「立場と役割」の書き方について述べ、階層的な構成と一貫したねらいのもとに開発されてきたことを示すことの重要性を述べました。今回は「業務を進める上での課題および問題点」です。

 

3. 「業務を進める上での課題および問題点」記述方法

 

3.1 「課題」の記述方法について

 ここで、課題の考え方についての基本ルールを、次の3つの基本事項として簡単にまとめておきましょう。

 

(1) 課題とは業務の目標を表している。

(2) 課題は業務を遂行する上での必須検討事項である。

(3) 課題が導く解決手法は専門技術に関連したものである。

 

(1) 課題とは業務の目標を表している

 

 「課題」とは何か。この最初の言葉に意味がわかりにくいところがあります。辞書には、

 

1 与える、または、与えられる題目や主題。「論文の〜」「〜図書」

2 解決しなければならない問題。果たすべき仕事。「公害対策は今日の大きな〜である」「緊急〜」。 類語は問題。

 

とあり、どちらかというと上記2が試験で求められる課題に近いものだと考えます。

 

 また、課題については筆記試験編でもすでに説明していました。今年のメールマガジン第3回です。「課題」を「問題」と対比して次のように説明しています。

 

 中略・・「課題」について説明しておきます。たいていの試験問題では「問題点」を提起したあと、「課題」を設定するものが多いようです。この「問題」と「課題」の違いは、次のように対比できます。

 

●問題 「現象面で認知される不具合」つまり理想の状態と現実との差

●課題 「問題点を解決し得る対策」を考える上での目標、高い目標を達成するために設定される、従来にはなかった新たな取組みや新たな仕事

 

 つまり「問題点」が解決すべきものであるのに対し、「課題」は達成すべきものなのです。試験の問題では、まずは問題の解決のため「問題点」を挙げるところからスタートします。しかし、技術士としての貢献は、どう解決するかという判断力にあります。この判断力を見るため、たいてい「課題」を宣言して、その課題を達成するための「対策」や「留意点」を求められるわけです。              マガジンは以上      

 

全文はこちら。 http://blog.mag2.com/m/log/0000141686/

 

 以上のことから、課題を文章にするには「〜を〜する」というような動詞を含む言葉で表すと間違いないと思います。

 

(2) 課題は業務を遂行する上での必須検討事項である。

 

 次にその課題の内容ですが、当然のことながら、業務の中での主要でかつ必須な事項でなければなりません。業務における、貢献度や技術的内容をアピールするには、まずそのもとになる課題が技術士にふさわしいものでなければなりません。業績をアピールするのにここしかないわけですから、業務の中心をとらえ、それでいて貢献が十分見込める事項とすべきです。

 

(3) 課題が導く解決手法は専門技術に関連したものである。

 

 また、その課題は、専門技術に裏付けられた解決方法を導くものでなければなりません。というのは、あくまでも技術士の業務であり技術面での貢献が問われるからです。

 

 また、課題の次には、論文では問題点と技術的提案が求められます。ですから、そのような答えにつなげることも前提に課題を設定しておく必要があります。

 

3.2 「問題点」の書き方

 

 技術的体験論文では、問題点を「業務を進める上での課題および問題点」として求められます。課題と問題とは先の定義に述べたように類義語ではありますが、ここではあえて2つを区別して、違う要求としてとらえます。

 

 つまり、業務を進める上で設定した課題に対して、問題点とはそれを実行する際に障害となるものです。課題を掲げてそれに対処しようとしたときに、何かが発生して目的が達せられない情況を言えばよいのです。

 

 ここで悪い例をいくつか挙げておきますので注意してください。

(1)業務上の課題を問題点としている
 10日以内に工事を完成させることが必要であった。

 この解決策を考えることが課題となった。

(2)未知のことがあり判断できないことを問題としている

 地中の岩盤が不明なため掘削方法が決定できなかった。

 地質情況が複雑で前方地山が予測困難であった。

 

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 当研究所の指導方法はお分かりいただけましたか。今回取り上げたような、わかりやすい方法で無理なく誰でも書ける技術的体験論文の指導を行っております。

 

 さて論文作成でよくある困ったことの1つは、単なる報告書になってしまうことです。これは誰もが陥ることですが、次のように段階的に取り組めば、まったくむずかしくはありません。

 

(1) 実施した業績を書き出す

(2)因果関係をもとに並べ、技術的ストーリーとして一般化する。

(3) (2)のストーリーに使用した技術を技術大系から当てはめる。

(4) (2)のストーリーから類推される最終目標を明確化する。

(5) (4)の最終目標を達成可能にする技術を提案する。

 

 こうした段階的指導内容については口頭試験コースA(口頭+体験論文作成指導)のウェブページを参照ください。http://homepage2.nifty.com/whitewell/mensekouA.htm

 

 小手先の合格テクニックではなく、本質的な能力開発を目指して技術のプロの問題解決を開発してきた結果です。これらは受講者様の要望にこたえるためとことん考えぬいた結果でもあります。

 

 また、上記の指導を推進する上で、本講座では次の多角的なツールで指導しています。逆に言うと、こうした指導基盤があって初めて、十分な合格指導が可能だということなのです。

 

(1)コーチング指導とコンピテンシー能力開発

(2)ノウハウいっぱいのチェックシート指導

(3)マルチ通信手段によるクイックコミニケーション

(4)科学技術論文データベース

 

 ツールの詳しい内容については、次のページをご覧ください。

http://homepage2.nifty.com/whitewell/4kinou.htm

 

 この結果、業績の中のもっとも成果の大きい中核部分を中心に、整然とした記述ができるようになります。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることも身につくため、技術者として一回りも二回りも大きくなれることは間違いありません。



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技術士合格への道セミナー

合格できる技術的体験論文 その4

「課題に対する技術的提案」記述方法

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1.はじめに

 

 技術士合格への道研究所では、問いかけとコーチング、それから誰でも書ける論文作成指導によって、これまで多数の方の能力開発に貢献し、合格支援に成功してきました。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることを身につけてもらい技術者として一回りも二回りも大きくなれる指導を行っています。

 これら指導の結果、だれでもご自分の専門技術を余すことなく答案に反映し、合格力を高められます。このメールでは、技術的体験論文の書き方について全8回程度に分けて連載でお送りします。

 

2. 合格できる技術的体験論文 

 

 技術士試験の技術的体験論文は、応用能力、論理的考察力、課題解決能力について重視するように変化しております。このため、過去の経験論文をただ2枚に要約するだけでは論文として通用せず、技術士の本質的部分を集約して、テキパキと表現する必要がありました。

 

 前回は業績の詳述における、「業務を進める上での課題および問題点」記述方法ついて述べ、「課題」、「問題点」の意味を正しく理解する必要性を述べました。今回は「課題に対する技術的提案」です。

 

3. 「課題に対する技術的提案」記述方法

 

3.1 基本的な記述方法について

 ここでの要求は単なる解決策とか実施内容ではなく、「課題に対する」と前置きした「技術的提案」であることに注意してください。ここには次のような出題者の意図が感じられます。

 

(1) 論理的に課題に対応しており、問題点を解決し得る内容であること。

(2) 技術的根拠(実効性)のある提案内容となっていること

(3) 提案内容(結果)が単刀直入に表現されていること。

 

(1) 論理的に課題に対応しており、問題点を解決し得るよう内容である

 

 「課題に対する技術的提案」とは課題で宣言された業務のねらいに対して、対応したものでなければなりません。あるいは問題点を解決するような内容である必要があります。

 

たとえば構造物の強度に問題がある場合に、その「課題」は「強度を増す」ことであり、「技術的提案」は「補強する」ことになります。

 

 しかし、もし同じ構造物の強度に問題がある場合に、「技術的提案」が「補強する」以外の内容だとおかしなことになります。

 

 よくあるのは「調査する」や「検討する」ですが、これだと解決に至りません。また、「取り替える」や「再設計する」、あるいは「適切に対策する」では何が悪かったのかわかりません。つまり、「技術的提案」とは必要最小限でかつ問題点に対してダイレクトに作用し得ることが理解できることが必要なのです。

 

(2) 技術的根拠のある提案内容となっている

 

 次にその提案の内容ですが、当然のことながら、技術的根拠を備えたものでなければなりません。技術的根拠とは、すなわち提案が正しいという証拠です。これは、その提案内容が技術士としての貢献を表す主要なものであるからです。

 

 提案内容の説明は論理的に行うべきですが、提案した解決策が必ずしも効果があるかどうかは論文だけでは判断付きません。そこで、類似例での実施結果を示して当該ケースに提案内容の技術を適用した場合にうまくいくことを示すのです。

 

 たとえば、先の構造物を補強するという例では、補強した部材がどのように応力を負担し、本来の構造物が大きな変形から免れ、損傷を回避できることを言えばよいのです。このとき、補強部材や本来の構造物の強度や変形、応力について定量的に説明することが大切です。

 

 そうすることによって、提案内容がある程度確からしいものとして理解され、業務全体として正しい判断が行われていると認知されることとなるわけです。

 

(3) 課題が導く解決手法は専門技術に関連したものである。

 

 また、その課題は、専門技術に裏付けられた解決方法を導くものでなければなりません。というのは、提案内容とはあくまでも技術士の業務であり技術面での貢献こそが問われるからです。

 

 またこの技術とは、建設部門の選択科目の相当技術、すなわち施工科目選択ならば施工技術を駆使したものでなければならず、トンネル科目の場合はトンネル技術によって業務上の問題解決を図ったものでなければなりません。

 

 この課題が専門技術によって解決されている様子をアピールするには、次の3つの手順で行ってください。

 

(1)問題を解決する過程でどのような技術を使用したか。その名称は?

(2) (1)の技術は問題に対してどのように作用しているか。

(3) (1)の技術は、どのような技術体系から参照しているか。その名称は?

 

 このような、応用過程が理解できてはじめて技術士にふさわしい業績と認知されるわけです。業績の技術力をアピールするのにここしかないわけですから、業務のどこが技術的要素を含んでいるかは、まず把握しておかねばなりません。

 

 

3.2 「課題に対する技術的提案」記述方法のまとめ

 

 「課題に対する技術的提案」は、これまで書いてきたことをそれぞれ注意して満たしていけばよいのです。あくまでも、提案内容が正しいかどうかは読み手にはわかりにくいものです。

 

 しかし、提案内容に至る過程が論理的で根拠に富んだものであるとすると、読み手は細かい情報抜きに全体的な問題解決姿勢の確からしさを感じ取るものです。このためにも、全体を通して、抜け落ちなく、(1)論理的な課題対応、(2)技術的な提案根拠、(3)提案内容のが単刀直入な表現を取り入れていけばよいのです。

 

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 当研究所の指導方法はお分かりいただけましたか。今回取り上げたような、わかりやすい方法で無理なく誰でも書ける技術的体験論文の指導を行っております。

 

 さて論文作成でよくある困ったことの1つは、「技術的成果」は?と問われた場合に答えられないことです。よくあるのは、だだ単に対策結果をそのまま書いたり、経済的な節約額を表したりすることです。これは誰もが陥ることですが、次のように段階的に取り組めば、まったく難しくはありません。

 

(1) 技術的提案はなにを目指したものか。改善のねらい

(2)従来の方法でやった場合の結果はどのようなものと予想されるか。

(3) (1) (2)を比較して、その差異はどのような技術適用に基づいているか。

(4) (3)の技術適用に由来する問題改善の度合い(効果)はどれほどか。

 

 こうした技術的な本質的対応方法についての指導は、一般論ではわかりにくいものです。その都度、受講者様の個別ケースにおいて、どうすべきかという疑問に答えることがもっとも大切です。

 

 この講座では、受講者様の業績をヒアリングすることにより、その業務が抱える本質的問題を逃すことなく解決し、論理的に解決することにより、受講者様の問題取り組み姿勢が技術としてふさわしいものであることをアピールするようにしています。

 

 小手先の合格テクニックではなく、本質的な能力開発を目指して技術のプロの問題解決を開発してきた結果です。これらは受講者様の要望にこたえるためとことん考えぬいた結果でもあります。

 

 また、上記の指導を推進する上で、本講座では次の多角的なツールで指導しています。逆に言うと、こうした指導基盤があって初めて、十分な合格指導が可能だということなのです。

 

(1)コーチング指導とコンピテンシー能力開発

(2)ノウハウいっぱいのチェックシート指導

(3)マルチ通信手段によるクイックコミニケーション

(4)科学技術論文データベース

 

 ツールの詳しい内容については、次のページをご覧ください。

http://homepage2.nifty.com/whitewell/4kinou.htm

 

 この結果、業績の中のもっとも成果の大きい中核部分を中心に、整然とした記述ができるようになります。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることも身につくため、技術者として一回りも二回りも大きくなれることは間違いありません。



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技術士合格への道セミナー

合格できる技術的体験論文 その5

「提案に対する技術的成果」記述方法

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1.はじめに

 

 技術士合格への道研究所では、問いかけとコーチング、それから誰でも書ける技術士試験の論文作成指導によって、これまで多数の方の能力開発に貢献し、技術士合格支援に成功してきました。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることを身につけてもらい技術者として一回りも二回りも大きくなれる指導を行っています。

 これら指導の結果、だれでもご自分の専門技術を余すことなく答案に反映し、技術士試験での合格力を高められます。このメールでは、技術的体験論文の書き方について全8回程度に分けて連載でお送りします。

 

2. 合格できる技術的体験論文 

 

 技術士二次試験の技術的体験論文は、応用能力、論理的考察力、課題解決能力について重視するように変化しております。このため、過去の経験論文をただ2枚に要約するだけでは論文として通用せず、技術士の本質的部分を集約して、テキパキと表現する必要がありました。

 

 前回は業績の詳述における、「課題に対する技術的提案」の記述方法ついて述べ、「課題に対する」と前置きした「技術的提案」であることの意味を正しく理解する必要性を述べました。今回は「提案に対する技術的成果」です。

 

3. 「提案に対する技術的成果」記述方法

 

3.1 基本的な記述方法について

 ここでの要求は単なる解決策とか実施内容ではなく、「課題に対する」と前置きした「技術的提案」であることに注意してください。ここには次のようなことを確認したいという出題者の意図が感じられます。

 

(1) 提案内容が確かに技術的根拠のあるものだいうこと

(2)技術的効果を客観的に評価する姿勢

(3) 提案によって業務が最終的に「成功」に導かれていること

 

(1) 提案内容が確かに技術的根拠のあるものだいうこと

 

 「提案に対する技術的成果」とは提案事項を実施した結果として、業務上の成果を生んでおり、しかもその成果が提案内容と因果関係がなければなりません。ここで大事なことは、技術士試験の答案としてはそうした因果関係が読み取れる文章になっていなければならないということです。

 

 またこの技術とは、技術士二次試験の部門の選択科目の相当技術、すなわち建設部門の施工科目選択ならば施工技術を駆使したものでなければならず、トンネル科目の場合はトンネル技術によるものでなければなりません。

 

 例えば、構造物の強度問題に対する提案内容は「補強する」ことであり、その結果、技術的成果は「補強により限界応力が○N増した」ということになります。

 

 ここで、補強という手段と、部材が負担する応力の増加という結果が直接の因果関係にあることは、幸い単純なケースのためそれほど説明は必要としないかもしれません。しかし、実務ではもっと複雑になっているため、段階的に因果関係を説明することが必要かもしれません。

 

(2)技術的効果を客観的に評価する姿勢

 

 次にその効果の評価ですが、当然のことながら、何らかの効果があるものでなければなりません。この効果の評価として簡単なのは、技術提案を実施しなかった場合、すなわち「従来の方法」との比較をすることです。

 

 単純に「技術的提案」を実施した場合と、しなかった場合の2ケースを比較して、その差を技術的効果として示すわけです。

 

 たとえば、先の構造物を補強するという例では、技術的提案により、耐震補強としてオイルダンパーを設置することとかがありえます。この場合の成果は、オイルダンパーのないときに比べて「地震加速度○ガルまで構造体の損傷がない」とか言うように表現されます。

 

 このとき、効果としては構造物の強度や変形、応力について定量的に説明することが大切です。そうすることによって、評価尺度が確からしいものとして理解され、業務全体として正しい判断が行われていると認知されることとなるわけです。

 

(3) 提案によって業務が最終的に「成功」に導かれていること

 

 また、その提案は、結果として業務を成功に導くものでなければなりません。というのは、提案内容とはあくまでも技術士の業務であり、コンサルタントである技術士としては結果に責任があるからです。

 

 提案内容がたとえ効果があったとしても、業務の全体的な成果に寄与しないものは提案する意味がありません。またいくら効果的でも、マイナスの影響をもつ提案を進めるのはコンサルタントの倫理に反するという理由で望ましくはありません。

 

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 当研究所の指導では、今回取り上げたような、わかりやすい方法で無理なく誰でも書ける技術的体験論文の指導を行っております。

 

 さて論文作成でよくある困ったことの1つは、「現時点での技術的評価及び今後の展望」は?と問われた場合に答えられないことです。よくあるのは、だだ単に今反省していることをそのまま書いたり、現場での改善のプランを示したりすることです。これは誰もが陥ることですが、次のように段階的に取り組めば、まったく難しくはありません。

 

(1) 実施した技術的提案を再度、最新技術で行うとしたらどうなるか。

(2)実施した現場のことを離れて、グローバルな目で見たらどうか。

(3)この技術に関する専門家としての使命感から今後すべきことは何か。

 

 こうした技術的な再評価とか将来展望の方法についての指導は、一般論ではわかりにくいものです。その都度、ご自分の個別ケースにおいて、どうあるべきかという固有のケースについて考えることがもっとも大切です。

 

 ことに、「専門家としての使命感」とはいかなるものか、一般の技術者にはわかりにくいものです。それは専門家になってみないとわからないかも知れません。

 

 技術士二次試験では、知識、経験、応用力などすべて備わった技術者であることがまず問われます。専門家であるかどうかはその上位の十分条件に過ぎません。しかし、そうした使命感を備えていることは、日常業務においても改善の動機となり、CPDを促すものであることは想像に難くありません。ですから技術士試験では「専門家としての使命感」が感じられると高く評価されるのです。

 

 この講座では、受講者様の業績をヒアリングすることにより、その業務が抱える本質的問題を逃すことなく解決し、論理的に解決することにより、受講者様の問題取り組み姿勢が技術としてふさわしいものであることをアピールするようにしています。

 

 小手先の合格テクニックではなく、本質的な能力開発を目指して技術のプロの問題解決を開発してきた結果です。これらは受講者様の要望にこたえるためとことん考えぬいた結果でもあります。

 

 また、上記の指導を推進する上で、本講座では次の多角的なツールで指導しています。逆に言うと、こうした指導基盤があって初めて、十分な合格指導が可能だということなのです。

 

(1)コーチング指導とコンピテンシー能力開発

(2)ノウハウいっぱいのチェックシート指導

(3)マルチ通信手段によるクイックコミニケーション

(4)科学技術論文データベース

 

 ツールの詳しい内容については、次のページをご覧ください。

http://homepage2.nifty.com/whitewell/4kinou.htm

 

 この結果、ご自分の最も自信のある得意分野を中心として、整然とした記述ができるようになります。得意領域を探索するため、それが可能です。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることも身につくため、技術者として一回りも二回りも大きくなれることは間違いありません。



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技術士合格への道セミナー

合格できる技術的体験論文 その6(最終回)

「現時点での技術的評価及び今後の展望」記述方法

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1.はじめに

 

 技術士合格への道研究所では、問いかけとコーチング、それから誰でも書ける技術士試験の論文作成指導によって、これまで多数の方の能力開発に貢献し、技術士合格支援に成功してきました。また、技術というものが経験則ではなく、科学技術の体系的知識の活用であることを身につけてもらい技術者として一回りも二回りも大きくなれる指導を行っています。

 これら指導の結果、だれでもご自分の専門技術を余すことなく答案に反映し、技術士試験での合格力を高められます。このメールでは、技術的体験論文の書き方について連載でお送りします。今回はその最終回です。

 

2. 合格できる技術的体験論文 

 

 技術士二次試験の技術的体験論文は、応用能力、論理的考察力、課題解決能力について重視するように変化しております。このため、過去の経験論文をただ2枚に要約するだけでは論文として通用せず、技術士の本質的部分を集約して、テキパキと表現する必要がありました。

 

 前回は業績の詳述における、「提案に対する技術的成果」の記述方法ついて、提案内容の技術的根拠、客観的に評価する姿勢、業務として「成功」していることの重要性を述べました。今回は「現時点での技術的評価及び今後の展望」です。

 

3. 「現時点での技術的評価及び今後の展望」記述方法

 

3.1 現時点での技術的評価とは

 技術士の技術的体験論文で「現時点での技術的評価」が求められるのはどうしてでしょう。この最大の目的は、継続的な技術研鑽、すなわちCPDが実践されているかを確かめるものだと考えられます。

 

 技術士の業績はその時々の最高の技術を採用して行われるはずです。しかし、期間が経過しますと新たな技術が開発され、過去において先進的であった内容が次第に陳腐化していきます。このため技術士としては、常に最新の技術に追随して、自らの知識や保有技術を更新しておく必要があるのです。

 

 現時点での技術的評価とは、そのような更新事実を確認するものに過ぎません。自分が過去に実施した業績について反省し、

・「現時点で」実施するとしたら最新技術でどう解決すべきか

・「現時点で」分析するとどうか(当時は評価されていなかったので)

というように考えればよいのです。

 

 ところで、この「現時点での技術的評価」として、次のようなよい評価をするケースが見られます。

 

・実施内容は結果がよかったので成功したと考える。

・実施内容は多大な経済効果を生んだためによかったと考える。

・実施の結果、特段クレームもなかったのでこれでよかったと考える。

 

 先に述べた説明の通り、これらはいずれも、設問が要求する評価とは違うということがお分かりいただけますでしょうか。

 

3.2今後の展望とは

 

 技術的体験論文の「今後の展望」とはどのように「展望」すればよいのでしょうか。ここで試験官が見ようとしているのは、専門家としての視点があるかどうかです。

 

 これまで、技術士とは、知識とか応用力とかいろいろなものが求められると申し上げてきましたが、究極的にその技術分野での専門家でなければなりません。それらを端的に評価できるのがこの「今後の展望」なのです。

 

高い技術力を維持していくには、保有技術を維持すると共に、技術や市場が今後どうなっていくかを見極めなければなりません。いくら素晴らしいことでも時代に逆行してはならないのです。技術開発とは時間のかかるものであり、長期的に正しい方向に開発していかねばなりません。

 

 逆にこうした「今後の展望」をしっかり持てていれば、将来についての時代認識を誤ることなく、正しい方向に向かって技術を営んでいけるということなのです。

 

 今後の展望とは、このように業務環境や市場の変化に基づいて、今後技術士の業務がどのように変化していくかを見通せばよいのです。簡単に言うと、

・今後、技術開発は○○の進歩により〜の方向に展開する。

・今後は、○○のニーズが高まるため技術は〜とする必要がある。

というように考えればよいのです。

 

 ところで、この「今後の展望」として、次のようなケースが見られます。

 

・今後は本物件で実施した内容と違った全く新しいことが進展するため、新しい技術を吸収していきたい。

・今後も新しい技術の展開に追随するため、精一杯努力していきたい。

 

 

 これらはいずれも、設問が要求する将来展望とは違うということがお分かりいただけますでしょうか。

 

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 技術士合格への道研究所の指導では、今回取り上げたような、わかりやすい方法で無理なく誰でも書ける技術的体験論文の指導を行っております。

 

 さて論文作成はそろそろ締め切りです。あまり時間はありませんが、最後まで完成度を高めることをお勧めします。

 

 技術的体験論文の最後の見直しで注意すべきなのが、図と文章のつながりです。よくある困った論文の1つは、図があってもその図の説明がほとんど文中でふれられていない場合です。図を見ればわかるのだから、説明は書く必要がないと思われるのかもしれません。

 

 これは多くの方が陥ることですが、読み手の感想として著しく不親切な印象を受けることがありえます。しかし、次のように段階的に取り組めば、まったく難しくはありません。

 

(1) 業務の主要な事項、かつ図でなければわかりにくいことを図にする。 (2)図の見方を口頭で説明する順序で説明文を書く。

(3)図に書くことは言いたい要点だけにしてシンプルな図にする。

 

 こうした図の書き方とかについての指導は、一般論ではわかりにくいものです。その都度、ご自分の個別ケースにおいて、どうあるべきかという固有のケースについて考えることがもっとも大切です。

 

技術士合格への道研究所 рO3−6273−8523 東京都中央区日本橋浜町1丁目10番8号 502